突撃!アポなし税務調査! 無予告調査1

石塚

税務調査があると言われれば、それだけで納税者にとってはプレッシャーです。しかも抜打ちの調査となればなおさらです。本日は無予告調査(抜打ち調査)について、元国税局調査官の石塚が意識高めにお話します!

無予告調査ってどこに来るの?

アポなしで突然に税務調査が始まることを、通称「無予告調査」といいます。
無予告調査は税務調査では珍しいことではなく、筆者も国税局・税務署勤務時代にはよく無予告での突入をしていました。

石塚

される方はドキドキですが、する方も実はドキドキだったりするのです。

無予告調査については、着手されやすい業種とされにくい業種があります。
数ある業種の中でも、「現金商売」と言われる職種は無予告による調査が行われやすいという傾向があります。
現金商売とは、飲食店サービス業宿泊施設等、現金による売上金の受領が経常的に行われている業種を指します。

売上金を現金で受領する商売の場合、入金管理はレジやPOSシステム等によって管理されるのが一般的です。
しかしながら、もしも受け取った現金をレジやPOSシステムに入力しなかった場合、売上を事後的に把握することは困難を極めます。
このように売上を隠すことを「売上を除外する」「売上除外」といいます。
銀行振込による売上に比べ、現金による売上は除外することが容易です。売上を除外すればそれだけ所得が減り(≒税額が安くなり)ますので、現金売上が大半を占める現金商売は要注意というわけです。

「現金商売=売上を除外している」とまでは言いませんが、「そういった可能性も視野に入れている」というのが税務署側の本音なのかと思います。
「売上除外が容易にできてしまう商売形態であるからこそ、無予告で着手することで‘そうでないことの確認’をする。」というスタンスで、調査官はドアを叩きます。

突然ピンポン!?

税務調査を行う際には、「事前通知」という手続きを着手前に行うことが国税通則法で定められています。
しかしながら、「証拠保全や現状把握を困難にする‘おそれ’」がある場合については、例外的に事前通知を調査着手後に行うことが認められています。
この‘おそれ’がなんとも抽象的な表現であり、税務署側が「おそれあり」と主観的に捉えれば無予告調査は認められる。というのが現状です。

突然に始まる無予告調査ですが、おおまかな流れというものがマニュアル化されています。
簡単に説明しますと、
①書類確保 ②現物確認 ③現金監査 ④内観調査確認
となります。

書類確認

日々の記帳資料(現金出納帳や売上帳等)の確保を行います。税額計算がされる申告書の始まりとなる原始資料の確保が、日々の経理を掴む重要な資料となります。

現物確認

①の書類を作成する元となる物(売上伝票や領収書の控え、その他業務に使用する物)の確認を現場で行います。引出しを開けたり、場合によっては代表者の鞄の中身プライベートの居室の確認が行われることもあります。思わぬ物が売上除外の証拠になることもあるので、調査官は目を皿のようにして現物確認を行います。

現金監査

①で確保した記帳資料の現金残高と、実際の現金の有り高を確認します。ここで現金が記帳資料の残高よりも多い場合は、「売上除外があるのでは?」という疑いが生じ、調査の雲行きが大きく変わります。

内観調査確認

内観調査とは、調査官が無予告調査前に予め客として調査先へお金を落としておく調査手法の1つです。(詳細は別記事の「内観調査について」参照)
無予告で着手した場合は高い確率でこの内観調査が行われています。
調査官は事前に客として落とした売上金が①の書類に記帳されているかを確認し、計上されていなかった場合は代表者を追及してその場で売上除外を認めさせるというわけです。


石塚

ここまで読んで頂きありがとうございました。

無予告調査が来ても普段の経理をきちんとしてれば大丈夫!ですが、実際来ると動揺するもの。

次回は無予告調査の対応についても意識高くお話します。

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