90億円申告漏れ!?HOYA元社長の相続財産に係る税金のお話

石塚

皆様こんにちは!意識高い系ブロガー兼TikTokerの石塚です!

本日は先日報道された『HOYAの元社長の相続財産90億円申告漏れ』から、‘自社株式の評価’についてお話します!

先日、HOYAの元社長の相続税申告において、約90億円の申告漏れがあったことがニュースで話題となりました。HOYA元社長の相続財産、90億円申告漏れ 国税が指摘: 日本経済新聞 (nikkei.com)(令和3年4月18日日本経済新聞より)
相続税では基本的に、相続人(遺族の方)がお亡くなりになった時点での全財産を集計して税額計算を行う必要があります。全財産とは、現金預金や土地などは勿論、保有する株式についても対象となり、株式はお亡くなりになった時点の価値で計算をする、ということになります。
この価値が低くなれば当然、相続税が少なく計算されます。
今回はHOYA元社長の保有していた株式の価値が問題になりました。
この株式について国税局が、適正価格よりもずいぶん少ないんじゃないの?と指摘した、というのが今回のニュースです。

このニュースをより深く理解するためには、「株式の評価」について理解する必要があります。
本来、株式とは上場していた場合は時価がハッキリとするものです。
「トヨタや電通の今日の株式の時価は?」と聞かれれば、東証一部の値動きをググればすぐに分かります。
問題は、「非上場の株式の評価はどうやればいいのか?」という点です。

株式の評価とは?

中小企業のほとんどは株式市場に上場していない、いわば未上場の株式です。
これは簡単に言ってしまえば、会社創業者やその家族が株を持っているだけで、株式を売り場に出していない、いわゆる「身内だけの株式」なわけです。
今回のHOYAの事件でも、争点となった株式はHOYAが出資した非上場の会社の株式(身内だけの株式)です。つまり、「身内が持っているだけの株式の値段は果たしていくらなのか?」という論点が、この事件の肝だったわけです。非上場であっても株式の評価は適正に行わなければいけない。ということが分かります。

うちの会社は大手じゃないから、株式評価など関係ないよ!」
と思っている経営者の方は注意が必要です。
何故なら、「会社の規模や、上場、非上場に関係なく、会社の譲渡や相続の際には株式の評価が必要になる」からです。

自分が作った会社を身内に譲ると税金がかかる?

中小企業を経営していると忘れがちなのが、株式会社は会社の規模に関係なく、「株式会社は出資の対価として株式を発行する組織形態である」という点です。
つまり、株式を保有することは会社への支配権を保有することを意味し、利益を生み出す会社であればその支配権は当然に経済的価値を持つことになります。
株を誰かに譲り渡すということは、社長が100%株主であっても、その経済的価値のあるものを譲渡することになり、税金がかかります。
たとえそれが、家族や親戚などの身内であってもです。

では、自身が保有する会社の株式はどう評価するのでしょうか?
詳しく説明すると長くなるので省略しますが、ザックリ説明をしてしまえば、過去から現在まで積み上げてきた利益や現在の営業成績などを総合的に考慮して価値を計算することとなります。
これを意識しないで、
「そろそろ自分は引退して、息子に後を継がせよう。」
と、株式をそのまま譲渡してしまったり、お亡くなりになるまで保有し続けて相続という形で譲り渡すことになると、上記の評価額で計算した株価をベースに、譲渡所得税や相続税がかかることとなり、税金計算で大きく損をする可能性があります。

経営者の事業継承、相続の対策とは?

これまでの話でも分かる通り、経営者の方は自社株の評価を視野に入れて次世代への承継を検討する必要があります。
現代の自社株評価の節税策として最も効果が高いのは、退職金を利用して評価額を引き下げる方法があげられます。
詳細はここでは省略しますが、簡単に流れだけを説明すると、

退職金を支払って所得を減らす
所得大幅に減るため企業の価値が下がる
企業の価値が下がったタイミングで株価の評価を行う
株式を次世代の方へ譲渡する

といったフローになります。

少子高齢化が進む昨今の日本社会において、事業承継が今後ますます増えていくことが予想されます。
しかしながら、中小企業の経営者の多くが、事業承継に係る税制上のリスクを認識していないというのが現状ではないかと筆者は考えます。
今回のHOYAの事件は、株式の評価が与える税金への影響の大きさを再認識するきっかけになったのではないかと思います。


石塚

ここまで読んで頂きありがとうございました。
「事業承継を検討している」「相続対策を今からやっておきたい」

という経営者の方は、是非一度税理士に相談し、早めの対策を行っていただければと思います。

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