役員借入金が残っている会社は解散できる?返済・債務免除と税金の注意点

INDEX ー
会社を解散したいものの、「役員借入金が残っていると解散できないのでは?」と不安に感じている方もいるでしょう。
結論からいうと、役員借入金が残っていても会社を解散すること自体は可能です。
ただし、「解散=会社がなくなる」というわけではありません。解散後には清算手続きを行い、役員借入金を含む会社の資産や負債を整理する必要があります。
この記事では、役員借入金が残っている会社を解散する場合の処理方法と、税金に関する注意点を解説します。
01.役員借入金が残っていても会社は解散できる?

役員借入金が残っていることを理由に、会社が解散できなくなるわけではありません。ただし、解散後の清算では、役員借入金を含む債権・債務を整理する必要があります。
役員借入金とは
役員借入金とは、社長や役員などが会社に貸し付けたお金のことです。会社の資金繰りが悪化した際に、社長が個人のお金を運転資金に充てた場合などに発生します。
会社側から見ると「負債」であり、お金を貸した役員側から見ると「債権」です。中小企業では、返済しないまま長期間残っているケースもあります。
解散はできても役員借入金を残したまま清算結了はできない
会社の「解散」と「清算」は意味が異なります。
解散は会社の通常の事業活動を終了すること、清算は解散後に会社の財産や債権・債務を整理する手続きです。
解散後は清算人が債権の取り立てや債務の弁済などを行うため、役員借入金も返済や債務免除などによって整理する必要があります。
また、会社が債務超過に陥り、債務を返済できない場合には、特別清算や破産などの検討が必要になることもあります。
02.会社解散時に役員借入金を処理する3つの方法

役員借入金が残っている場合、主に「返済」「債務免除」「代物弁済」の3つの方法があります。
①会社から役員へ返済する
会社に十分な現預金がある場合は、解散前または清算中に役員借入金を「返済」します。
ただし、税金や買掛金、金融機関からの借入金など、ほかの債務とのバランスも確認することが大切です。清算に必要な費用なども考慮して返済を進めましょう。
②役員が債権放棄して債務免除する
会社に返済できる資金がない場合には、役員が会社に対する債権を放棄する方法があります。
役員側から見ると「債権放棄」、会社側から見ると「債務免除」です。債権放棄によって会社は役員借入金を返済する義務がなくなります。
後のトラブルを防ぐためにも、債権放棄の事実や金額、日付などを書面に残しておきましょう。
③会社の資産で代物弁済する
会社に不動産や車両などの資産がある場合には、現金の代わりに資産を役員へ渡して返済する「代物弁済」という方法もあります。
ただし、資産の時価と役員借入金の金額に差がある場合などには、税金が発生する可能性があります。事前に資産の時価や税務上の取り扱いを確認しましょう。
03.役員借入金を債務免除して解散するときの税金の注意点

役員借入金を債務免除すれば会社の負債を減らせますが、税金が発生する可能性があります。
会社に債務免除益が発生する
役員から債務免除を受けると、原則として会社側には「債務免除益」が発生し、法人税の課税所得が増える可能性があります。
一方、繰越欠損金が残っている場合には、一定の範囲で所得と相殺できる可能性があります。
さらに、解散した法人について残余財産がないと見込まれるなど一定の要件を満たす場合には、期限切れ欠損金を損金算入できるケースもあります。
赤字会社だから税金はかからないと判断せず、事前に欠損金の状況を確認しましょう。
ほかの株主がいる場合はみなし贈与に注意する
社長以外にも株主がいる会社では、みなし贈与にも注意が必要です。
役員の債権放棄によって会社の純資産価額が増え、ほかの株主が保有する株式の価値が上昇すると、その増加分について贈与税が問題になる可能性があります。
複数の株主がいる場合は、株主構成や株式の評価についても確認しておきましょう。
債務免除のタイミングは解散日の翌日以降に行う
役員借入金を債務免除する場合は、そのタイミングにも注意が必要です。
通常、期限切れの繰越欠損金は所得から控除できません。ただし、会社の解散後、残余財産がないと見込まれるなど一定の要件を満たす場合は、法人税法第59条の特例により、期限切れ欠損金を損金算入し、債務免除益による所得と相殺できる場合があります。
一方、解散前に債務免除を行うと、この特例の対象とならない可能性があります。期限切れ欠損金の活用を検討している場合は、解散日の翌日以降に債務免除を行うなど、タイミングについて事前に税理士へ相談しましょう。
まとめ
役員借入金が残っていても会社を解散できますが、清算を結了するためには、返済や債務免除、代物弁済などによって役員借入金を整理する必要があります。
とくに債務免除では、法人税やみなし贈与に加え、期限切れ欠損金を活用するためのタイミングにも注意が必要です。
ライストン税理士事務所では、役員借入金が残っている会社の解散や債務免除に関するご相談にも対応しています。「役員借入金を返済できない」「税負担を抑えて会社を清算したい」とお悩みの方は、手続きを進める前にお気軽にご相談ください。
監修者
石塚 友紀 / 代表税理士
ライストン税理士事務所 代表税理士の石塚友紀と申します。
当税理士事務所では、記帳代行や申告書作成をするだけではなく、お客様にあった節税プランを積極的に模索、ご提案しています。
お客様の不安やお悩みを解消し、顧問税理士として一つひとつのご依頼に正面から向き合い全力でご支援させていただきます。
税務のことでお悩みの方、顧問税理士をお探しの方は是非一度、ライストン税理士事務所へご相談ください。






