会社の「解散」と「清算」の違いとは?手続きの流れと注意点をわかりやすく解説

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会社をたたむ際によく耳にする「解散」と「清算」。どちらも会社の終わりに関わる手続きですが、意味や役割にははっきりとした違いがあります。
まずは、それぞれの違いが一目でわかる表を確認してみましょう。定義やタイミングなどの違いを押さえておくと、全体像がつかみやすくなります。
意味 | 実施のタイミング | 主な作業内容 | |
---|---|---|---|
解散 | 会社を終わらせると決めること | 手続きの最初 | 株主総会での決議、解散登記、清算人の選任など |
清算 | 資産・負債を整理し、会社を消滅させる手続き | 解散後に開始される | 債権債務の整理、公告、残余財産の分配、清算結了登記など |
本記事では、「解散」と「清算」の違いや、それぞれの手続き・注意点をわかりやすく解説します。
会社の「解散」とは?
会社を終了させる第一段階が「解散」です。ここでは、解散の定義や意味、実際にどのようなケースで解散が行われるのかを解説します。
解散の定義と意味
会社の「解散」とは、会社が今後の事業活動を終了することを決定することです。ただし、この時点で会社が完全になくなるわけではありません。
法的には、解散後も法人格は残っており、以降の「清算」という手続きを経て、はじめて会社が完全に消滅します。解散=会社の消滅ではないということに注意しましょう。
つまり、解散は「会社を終わらせるための準備段階」として位置づけられる重要なステップなのです。
解散が行われる主なケース
会社の解散には、代表的な理由として次の3つのケースが挙げられます。
① 株主総会の決議による自主的な解散
もっとも一般的なケースで、経営者や株主が「会社をやめる」と判断し、株主総会で解散を決議する流れです。
② 定款に定めた存続期間の満了
設立時に「◯年間」と決めていた場合、その期限が到来すれば自動的に解散になります。
③ 破産や合併による消滅
会社が破産したり、他社と合併することで法人格が消える場合にも、解散手続きが発生します。
会社の「清算」とは?
解散した会社は、すぐに消滅するわけではありません。その後、「清算」と呼ばれる手続きを通じて、会社の財産や負債の処理を行う必要があります。
清算の定義と意味
会社の「清算」とは、解散した後に行う、財産や債務の整理を目的とした一連の手続きを指します。会社に残っている資産や負債を整理し、すべての債務を精算したうえで、残った財産を関係者へ分配することで、会社としての活動を完全に終了させます。
そして、この清算手続きが完了し、「清算結了登記」が法務局に受理されてはじめて、会社は法的に消滅します。
こうした一連の作業は、通常「清算人」が中心となって進めます。清算人には元代表取締役が就任することが多いですが、株主総会で別の人物を選任することも可能です。
清算で行われる主な作業
清算手続きでは、以下のような具体的な作業が行われます。
【清算で行われる主な作業】
- 債権回収(売掛金などの回収)
- 債務の弁済(借入金や買掛金の支払い)
- 財産の売却や整理
- 残余財産の分配(最終的に株主へ分配)
- 清算結了の登記
さらに、手続きの途中で「官報による公告」や「債権者への催告(申し出の呼びかけ)」なども必要です。
解散から清算完了までの流れ
会社を完全に終了させるには、以下のステップに沿って手続きを進めます。
- 株主総会で解散を決議
- 法務局へ「解散登記」を申請
- 清算人を選任し、その登記も行う
- 官報で債権者に対する公告を出す
- 債権の回収・債務の支払いを実施
- 残った財産を株主へ分配
- 「清算結了登記」を行って法人を完全に終了
これらの手続きには、最短でも2〜3か月、長ければ半年以上かかるケースもあります。
【関連記事】会社解散の流れをわかりやすく解説|手続きや清算の注意点
解散と清算の手続き上の注意点
会社をたたむ際は、ただ手続きを進めるだけでなく、いくつかの注意点も押さえておく必要があります。
「解散=会社がすぐ消える」わけではない
会社が解散しただけでは、法人格はそのまま残っており、「清算会社」として存続しています。
この期間中も税務申告や届出などの義務が引き続き発生するため、きちんと清算結了登記を行うまで気を抜けません。
清算人には重い業務と責任がある
清算人は、会社に残った債権・債務の処理や財産の分配など、多くの実務を担います。
もし業務に不備があった場合、債権者や株主から損害賠償を求められるケースもあるため、慎重な対応が求められます。
専門家に依頼することで、手続きがスムーズに進む
解散・清算に関する手続きは、法務局や税務署、都道府県税事務所など、複数の機関への届け出や書類作成が必要です。
専門的な知識が求められる場面も多いため、司法書士や税理士などの専門家に相談することで、手続きの正確性が高まり、トラブル回避にもつながります。
まとめ
会社をたたむには、「解散」と「清算」という2つのステップを正しく踏むことが必要です。この両方が完了してはじめて、会社は法的に消滅します。
また、手続きには数か月の時間がかかるうえ、税務や登記など専門的な知識も求められます。場合によっては、思わぬトラブルや追加費用が発生することもあるため、早めに準備を始め、必要に応じて専門家に相談することが安心です。
当事務所では、会社の解散・清算に関するご相談を随時承っております。「何から始めればいいかわからない」「登記や届出が不安」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
監修者

石塚 友紀 / 代表税理士
ライストン税理士事務所 代表税理士の石塚友紀と申します。
当税理士事務所では、記帳代行や申告書作成をするだけではなく、お客様にあった節税プランを積極的に模索、ご提案しています。
お客様の不安やお悩みを解消し、顧問税理士として一つひとつのご依頼に正面から向き合い全力でご支援させていただきます。
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