会社の休眠とは?〜解散との違いやメリット・デメリットを解説〜

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事業を一時的に止めたいときに検討できるのが「会社の休眠」です。「売上が減って経営を続けられない」「廃業すべきか迷っている」という方にとって、現実的な選択肢の一つといえます。
この記事では、休眠と解散の違い、メリット・デメリット、手続きの流れをわかりやすく解説します。
01.会社の休眠とは?

「会社の休眠」とは、事業活動を一時的に止めて、会社の法人格を残したままにすることをいいます。経営を続けるのが難しいときや、将来の再開を見据えて体制を整えたいときに選ばれる方法です。
実務的には、税務署や都道府県税事務所へ「異動届(休業届)」を提出し、税務上「現在は事業を行っていません」と届け出ます。
解散(廃業)との違い
休眠と解散は混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。
| 状態 | 法人格 | 提出先 | 提出書類・内容 |
|---|---|---|---|
| 休眠 | 残る | 可能(事業再開届で再開) | 税務上の届出 |
| 解散・廃業 | 不可 | 不可 | 法務局で解散登記 → 清算結了登記で法人消滅 |
解散とは、会社を「終わらせる」ための準備に入る状態です。この段階では会社の法人格(=会社としての存在)はまだ残っていますが、債権や債務などの整理を行い、最終的に「清算結了登記」を行うことで会社は完全に消滅します。
一方で、休眠は「活動を止めているだけ」の状態です。法人格はそのまま残るため、再開届を出せばすぐに事業を再開できます。
「休眠」と「解散」どちらを選ぶべき?
休眠と解散のどちらを選ぶかは、会社の今後の見通しや再開の可能性によって異なります。
完全に撤退するなら → 解散・廃業
短期的な負担の軽さだけで判断せず、事業計画や資金繰り、維持コストを総合的に考えて選択することが大切です。
「みなし解散」に注意
注意が必要なのは、登記を長期間放置した場合の「みなし解散」です。最後の登記から12年が経過すると、法務局の職権により「登記を行っていない会社」は自動的に解散扱いとなります。
たとえ休業届を提出していても、役員変更や本店移転の登記を長期間行っていないと「みなし解散」と判断されることがあります。定期的に登記状況を確認し、必要な変更登記を忘れずに行いましょう。
参考:法務省|令和7年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について
02.会社を休眠するメリット・デメリット

会社を休眠する際には、コスト削減や再開のしやすさといった利点がある一方で、税務申告や維持費などの負担も残ります。
メリット① 維持コストを大幅に抑えられる
休眠にする最大のメリットは、事業を続ける場合に比べて維持コストを大幅に抑えられることです。人件費・社会保険料・設備維持費など、日々の経営にかかる支出を一時的にストップできるため、資金繰りに余裕が生まれます。
また、登記や契約を残したままにできるため、解散・清算のように法人を完全に消す手続き費用が不要です。
メリット② 再開がスムーズ
休眠中も法人格・商号・許認可を維持できるため、再開時に新たな会社設立手続きを行う必要がありません。
銀行口座・取引実績・ブランド名もそのまま使えるため、信用を保ったままスムーズに事業を再開できます。
ただし、銀行口座が長期間動かないと凍結・解約されるケースもあるため、年に一度は入出金を行うなどの管理が望まれます。
デメリット① 均等割課税などの維持コストに注意
休眠中でも、原則として法人住民税の均等割(約7万円前後)が課されます。自治体によっては「休業届」を提出すれば減免が認められることもありますが、全国一律ではありません。必ず自治体へ確認しておきましょう。
また、会社名義で不動産や車両を所有している場合は、固定資産税や自動車税なども継続して発生します。
デメリット② 税務申告と登記義務が続く
「事業をしていないから申告しなくてよい」と思われがちですが、休眠中でも法人税の申告と決算書の提出は必要です。これを怠ると無申告扱いとなり、追徴課税や青色申告の承認取り消しといったリスクにつながります。
さらに、取締役の任期満了時には役員変更登記を行う義務があります。放置すると、前述の「みなし解散」に該当するおそれがあるため注意が必要です。
03.会社を休眠させる手続きの流れ

会社を休眠させるには、社会保険・税務・登記など複数の手続きを段階的に進める必要があります。書類の提出先が複数にわたるため、正しい順序で行うことが大切です。
| 手続き順 | 提出先 | 提出書類・内容 |
|---|---|---|
| ① 社会保険・労働保険(従業員がいる場合) | 年金事務所/ハローワーク/労働基準監督署 | ・健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届 ・雇用保険適用事業所廃止届 ・労働保険確定保険料申告書 |
| ② 税務署(本店所在地を管轄) | 税務署 | ・異動届出書(休業の旨を記載) ・給与支払事務所等の廃止届出書 ・消費税関係届出書(必要に応じて) |
| ③ 都道府県税事務所 | 都道府県税事務所 | ・異動届出書(休業の旨を記載) |
| ④ 市区町村役場 | 本店所在地の市区町村役場 | ・異動届出書(休業の旨を記載) |
| ⑤ 銀行・取引先(必要に応じて) | 各金融機関・取引先 | ・休業(休眠)の連絡書、または口頭での通知 |
なお、決算と申告は毎年継続する必要があります。完全に放置してしまうと、思わぬトラブルに発展することもあるため、顧問税理士や専門家に相談しながら手続きを行いましょう。
まとめ

会社の休眠は、事業を一時的に止めながらも再開の可能性を残せる選択肢です。
「このまま続けるか、いったん休ませるか」迷うときこそ、専門家の意見を取り入れて冷静に判断することが大切です。休眠・解散のいずれも、正しい手続きと計画的な判断が将来の安心につながります。
当事務所では、税理士と司法書士が連携し、休眠・解散・廃業のいずれにも一括対応いたします。
監修者
石塚 友紀 / 代表税理士
ライストン税理士事務所 代表税理士の石塚友紀と申します。
当税理士事務所では、記帳代行や申告書作成をするだけではなく、お客様にあった節税プランを積極的に模索、ご提案しています。
お客様の不安やお悩みを解消し、顧問税理士として一つひとつのご依頼に正面から向き合い全力でご支援させていただきます。
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