無申告加算税とは?課税率や不正認定となるケースを解説
INDEX ー
税金の申告をうっかり忘れたり、申告期限を過ぎたりした場合に課されるのが「無申告加算税」です。
本記事では、法人や個人事業主が無申告となった場合の具体的なリスクやデメリット、無申告加算税の計算方法、さらに適切な対処法について詳しく解説します。
無申告加算税とは?
無申告加算税とは、本来の申告期限までに税務申告を行わなかった場合に課される税金(附帯税)です。
これは、納税者の申告義務を履行させることで納税の公平性を保ち、脱税を防止する目的で設けられた制度です。
また、申告義務のある人が期限までに正しく申告しないことで、課税の不平等が生まれてしまうのを防ぎ、納税意識の向上を促す制度としても機能しています。
対象となる税金の種類
無申告加算税の対象となるのは、以下のような申告義務がある税金です。
- 所得税(個人事業主・フリーランスなど)
- 法人税(会社など)
- 消費税
- 相続税や贈与税
これらは、定められた期限までに申告を行わなければならない税金です。期限を過ぎてから申告した場合や、まったく申告しなかった場合は、無申告加算税が課される可能性があります。
確定申告の期限について
確定申告の期限を守ることは、無申告加算税を避けるための基本です。申告対象者は、毎年以下の期限までに申告する必要があります。
- 所得税の確定申告期限:課税期間の翌年 2月16日〜3月15日
- 消費税の確定申告期限:原則として課税期間の翌年 3月31日
- 法人税の申告期限:事業年度終了日の翌日から 2か月以内
これらの期限を過ぎた場合、原則として「期限後申告」となり、無申告加算税や延滞税の対象となります。
なお、期限が土日祝日に当たる場合は「翌平日」が提出期限になります。
加算税が課されるケース
無申告加算税のほかにも、税務申告に関する手続きが適切に行われなかった場合や、源泉徴収の義務を怠った場合には追加の税金が課されることがあります。
【加算税の種類】
- 無申告加算税:期限内に申告が行われなかった場合
- 過少申告加算税:申告はしたものの、税額を少なく申告していた場合
- 不納付加算税:源泉徴収した税金を期限までに納付しなかった場合
- 重加算税:故意の隠蔽や仮装があったと税務署に認定された場合
これらの加算税は、いずれも本来納めるべき税額(本税)に上乗せされて課されます。それぞれのケースに応じたペナルティ内容を正しく理解し、トラブルを未然に防ぐことが重要です。
無申告になってしまった場合のデメリット
期限内に申告しなかったことにより、加算税以外にもさまざまな不利益が生じる可能性があります。
延滞税が追加されるリスク
無申告の場合、加算税に加えて「延滞税」も課されます。
- 無申告加算税:申告しなかったこと自体に対するペナルティ
- 延滞税:納付の遅れに対する利息のようなもの
どちらも併せて課税されるため、納税額は当初よりも大きく膨らむことになります。
青色申告の取り消しや税務調査リスクの増加
個人事業主や法人が「青色申告」をしている場合、無申告によって青色申告の承認が取り消されることがあります。
また、税務署から「申告が毎年期限内に行われていない」と判断されれば、調査対象となる可能性も高くなります。
社会的信用を失う可能性
企業や個人事業主が無申告状態であることが外部に知られた場合、以下のような社会的信用リスクが発生します。
- 銀行や信用金庫など、金融機関での融資が通りにくくなる
- 取引先企業との信用問題に発展し、契約が打ち切られる可能性がある
一度失った信用は取り戻すのに時間がかかるため、慎重な対応が求められます。
無申告加算税の計算方法と税率
2024年の税制改正により、無申告加算税の税率体系が変更されました。
以下のとおり、納税額に応じて段階的に税率が変わります。
納税額 |
税率 |
50万円以下 |
15% |
50万円超〜300万円以下(超過部分) |
20% |
300万円超(超過部分) |
30% |
※出典:財務省「加算税の概要」より
最初の50万円 → 15%(=75,000円)
次の250万円(50万超〜300万円まで) → 20%(=500,000円)
残りの100万円(300万円超部分) → 30%(=300,000円)
合計:875,000円
このように、納税額が大きくなるほど、加算税も比例して重くなる仕組みです。
無申告にならないためにできること
無申告は、故意ではなかったとしても重いペナルティを伴います。
そうならないためにも、日頃から以下のような対策が有効です。
- 税理士や会計事務所への相談・業務委託
- 会計ソフトやアプリの活用
- スケジュール管理の徹底
忙しい方や税務知識に不安のある方は、プロに任せるのが安心です。
また、弥生会計・freee・マネーフォワードなどのクラウド会計ツールを使えば、確定申告の準備がスムーズになります。
そして、申告期限を過ぎないように、カレンダーやリマインダーアプリで確定申告のスケジュールを事前に把握しておきましょう。
まとめ
無申告加算税は、意図的な不正でなくても発生する可能性のあるペナルティです。
普段から申告期限を意識し、適切な手続きを心がけることで、こうしたリスクを未然に防ぐことができます。
万が一、申告漏れに気づいた場合は早めに申告を行い、必要であれば専門家に相談しましょう。
税務申告や無申告加算税についてお悩みの方は、お気軽に当事務所へご相談ください。
経験豊富な専門家が、あなたの状況に応じた的確なサポートを行います。
監修者

石塚 友紀 / 代表税理士
ライストン税理士事務所 代表税理士の石塚友紀と申します。
当税理士事務所では、記帳代行や申告書作成をするだけではなく、お客様にあった節税プランを積極的に模索、ご提案しています。
お客様の不安やお悩みを解消し、顧問税理士として一つひとつのご依頼に正面から向き合い全力でご支援させていただきます。
税務のことでお悩みの方、顧問税理士をお探しの方は是非一度、ライストン税理士事務所へご相談ください。